フロントエンドエンジニアの案件について
従来は、Webサイト作成でデザインからHTMLやJavaScriptなどを組む工程は、Webデザイナーが行うことが多かったのですが、サイトを作成するところが増え、より質の高いサイトが求められるようになりました。これに伴い、HTMLやJavaScriptなどを組む工程を専門的に行うフロントエンジニアの役割が高まり、一つの仕事として確立されるようになりました。
フロントエンドエンジニアの仕事内容は、企業によってはデザインはすべてWebデザイナーに任せるところもあれば、デザインの一部をフロントエンドエンジニアに任せるところもあります。このため、デザインに関するスキルがある程度求められ、直接デザインに関与しなくも、デザイナーと連携することが多いので、PhotoshopやIllustratorのスキルが必要となることもあります。
最近はスマートフォンなどのモバイル端末からアクセスするユーザーが増えていることから、モバイル対応のフロントエンジニアのニーズが高まり、自社サービスのUI(ユーザーインターフェース)設計や実装に関わるフロントエンドエンジニアも増えています。 これに伴い、HTMLだけでは実現できない表現を加えられるJavaScriptのスキルがあり、モバイル端末の小さい画面を最大限活かせるUI設計や実装のスキルを持ったほうがより有利となるみたいです。
フロントエンドエンジニアの年収としては、経験、スキルにもよりますが、大体400万~600万円くらいのようです。企業によっては1,000万円を超える年収を提示するところもあります。
フロントエンドエンジニアの特徴
「フロントエンド」とは、WebサイトやUI(ユーザーインターフェース)など、ユーザーが直接目に触れる部分をいいます。そして「フロントエンドエンジニア」とは、このフロントエンドが適切にユーザーに表示されるよう、デザイナーのデザインをもとにプログラムを組む仕事です。
使用する言語は、主にHTML・CSS・JavaScript・PHPなどです。以前はデザイナー自身でHTMLやJavaScriptを組むことも少なくありませんでした。しかし、クオリティの高いサイトが増えるにつれ、次第に専門的なスキルが求められるようになり、それぞれ独立した仕事として分担されるようになったのです。
これと似たような仕事に、「コーダー」や「マークアップエンジニア」があります。コーダーは、デザイナーのデザインを忠実にWeb上に表示することを重視します。対してフロントエンドエンジニアは、デザイナーのデザインをもとにしつつ、ときには実用的な観点からデザインの変更や提案も行う点が異なります。
一方、マークアップエンジニアとの違いは、もっと細かいものになります。双方とも提案を含めたコーディングを行う点は同じですが、動的な部分まで実装するかどうかに違いがあります。具体的には、マークアップエンジニアがHTMLを使った静的な実装をメインで行うのに対し、フロントエンドエンジニアはJavaScriptを使ったアニメーションなど、動的な実装まで幅広くフォローします。
フロントエンドエンジニア案件 フリーランスに将来性はある?市場動向とニーズについて
フロントエンドエンジニアはPCさえあれば自宅でも仕事ができるため、フリーランスで働く人も少なくありません。しかし、組織に属さず独立して仕事をするとなると、将来性が気になる人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、フロントエンドエンジニアは大変将来性のある職種です。Webサイトは今や多くのサービスになくてはならないものであり、スマートフォンの普及によりアプリやWeb広告も増えているため、直接ユーザーの目に触れるフロントエンドを開発できる技術者のニーズが高まっているからです。
フリーランスエンジニア専用のIT求人サイト「フリーランススタート」によると、2021年7月現在、フリーランスのフロントエンドエンジニアの案件数は約5,000件と、たいへん高い数字となっています。その多くが、システム開発会社やアプリ開発会社からの求人です。
(参照元:https://freelance-start.com/jobs/job_category-2)
近年の市場動向としては、スマートフォン利用者の増加により、モバイルのアプリやサイトに対応できるエンジニアの求人が増えています。スマートフォンの画面はPCに比べて小さいため、小画面を最大限活かせるJavaScriptのスキルに長けた技術者は、特に引く手あまたの状況です。また、ITサービスのクラウド化が加速する昨今では、その開発に携われるフロントエンドエンジニアの需要も高まっています。
IT業界は技術革新が目覚ましいため、フリーランスのフロントエンドエンジニアとしてコンスタントに仕事を続けていくには、常に新しい技術に対応していく必要があります。ただし、フロントエンドエンジニアは歴史の浅い職種で、技術者のスキルも玉石混交です。実際のスキルはコーダーと変わらない人もいるため、高い技術を身につければ安定した収入が見込めるでしょう。
フリーランスエンジニア向けフロントエンドエンジニア案件の単価相場
では、フリーランスのフロントエンドエンジニアが受注する案件の単価相場とは、一体いくらぐらいなのでしょうか。
フロントエンドエンジニアは使う言語が幅広く、デザインに対し技術面からの提案を行えるスキルも求められるため、一般的にはWebデザイナーやコーダーよりも報酬単価が高く設定されています。
先述した「フリーランススタート」によると、フロントエンドエンジニアの平均単価は69.1万円で、最低単価は20万円、最高単価は160万円とのことです。全体的に高めではありますが、案件によって報酬額にかなりの差があることがわかります(2021年7月現在)。
(参照元:https://freelance-start.com/jobs/job_category-2)
当サイト「Futurizm(フューチャリズム)」に掲載された案件を見ても、実務経験が問われる案件の単価は総じて高く、逆に経験やスキルをさほど問わない案件の単価は安い傾向にあります。
フロントエンドエンジニア案件を取得するのに必要なスキルは?
フロントエンドエンジニアは、デザイナーやほかのエンジニア、ディレクターやクライアントなどと意見を交わしたり、提案を行ったりする機会は少なくありません。自分の意見を述べるだけでなく、他人の意見も聞ける最低限のコミュニケーションスキルは必要です。また、Webデザイナーやコーダーよりも幅広いスキルが要求されます。仕事をするために必要なスキルは以下の通りです。
プログラミング言語の知識
フロントエンドエンジニアは多数のプログラミング言語を扱うため、幅広い言語の知識が必要です。主に使用する言語とその特徴を簡単にご紹介します。
・HTML
Webサイト制作の基本となる文字に関わる言語です。タグを使用して、文字をタイトル・サブタイトル・ヘッダー・サイドバーなどに構造化することで、わかりやすく表示できます。
・CSS
Webサイト制作のデザインに関わる言語で、装飾や色の指定、配置などを行えます。最近では簡単なアニメーションも可能になっています。
・JavaScript
ブラウザ上で要素を動かすために必要な言語です。アニメーションやHTMLを動的に書き換えたり、ページ遷移に用いられたりするなど、近年では活用の幅が広がっています。
・PHP
動的なWebページ制作に必要な言語です。ブラウザ上で処理されるJavaScriptと違い、PHPはサーバープログラムの中で動くサーバーサイドの言語です。WordPressの構築に欠かせないスキルであるため、ある程度は知っておいたほうがよいでしょう。
Webに関する知識
フロントエンドエンジニアは基本的に、ユーザーの目に触れる部分のプログラミングを行うため、サーバーサイドの作業を行うことはあまりありません。ただ、サーバーサイドのデータ処理を行うバックエンドエンジニアと連携する機会もあるため、HTTPやネットワークの仕組み、データベースでの保存のされ方など、Webの基本的な知識は押さえておいたほうがよいでしょう。
フレームワーク・ライブラリの知識
「ライブラリ」とはソースコードを呼び出すものをいい、「フレームワーク」とはライブラリを含めた、よく利用される基本的な制御構造をまとめたテンプレートのことです。たとえばJavaScriptでは、「AngularJS」「Vue.js」「React.js」など、多数のフレームワークを使用します。案件の取得条件として、フレームワークやライブラリを使った開発経験が挙げられる場合もあるため、仕事をするうえでこれらの知識があるとたいへん有利です。
UI・UXの知識
「UI(ユーザーインターフェース)」はユーザーが機器やソフトウェア、システムとやり取りする仕組みのことで、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」は製品やサービスの利用により得られる印象・経験をいいます。
Webサイトはいくらデザイン性が高くても、使い勝手がよくなければ意味がありません。デザインを実際のコードに変換するフロントエンドエンジニアは、どこに要素を配置すれば使いやすいか、求めているものが見つけやすいかなど、常にユーザー視点に立ったページ制作が求められます。そのため、利便性に基づいた合理的なUI・UX設計の知識は必須といえるでしょう。
SEOの知識
SEOの知識に基づきカテゴリやURLの構造、Hタグの設定などを行うことで、検索エンジンに引っかかりやすくなり、訪問者の多いWebサイトを制作できます。必須とまではいえませんが、アクセス数を伸ばすことで継続的な案件を得やすくなるほか、自身のスキルアップにもつながるため、なるべく身につけておきたいスキルのひとつです。
CMSの知識
「CMS」とは「Contents Management System」の略で、HTMLやCSSの知識がなくてもテキストを入力したり、画像をアップロードするだけでWebサイトを制作・更新したりできるシステムのことです。最近では、このCMSを用いてWebサイトを制作する企業が増えています。フロントエンドエンジニアが携わるのは最初の枠組みの作成だけですが、CMSの知識があると仕事の幅は広がります。
画像編集ソフトの知識
フロントエンドエンジニアは、実装的な観点からレイアウトの変更などをデザイナーに提案することもあるため、デザインの知識を持っていたほうが有利です。PhotoshopやIllustratorといった画像編集ソフトも、基本的な使い方を理解しておくとよいでしょう。フロントエンドエンジニア案件の勤務条件は?
フリーランスのエンジニアというと、企業に出勤せず自宅で作業するイメージがあるかもしれません。しかし実際、フリーランスの求人サイトでは、クライアント企業での常駐を勤務条件とするものが多く見られます。これはプロジェクトに携わる期間(中には2~3年と長期のものもあり)、クライアント企業に出勤し、ほかのチームメンバーとともに仕事を行うもので、勤務時間はその企業に準じます。
中にはリモートワークやリモート会議をよしとするところや、最低稼働時間や出勤日数は決まっているものの、社員のように毎日出勤する必要のないところもあります。条件は案件によって違うため、応募する際は必ず確認しましょう。なお、服装はカジュアルOKのところがほとんどですが、中にはスーツ指定のところもあります。こちらも案件によるため、応募時に確認が必要です。
一方、完全に在宅OKという案件も存在します。ただし、1ヶ月程度は常駐したのち、問題なければ在宅に移行という形が多いようです。報酬は同じ経験値で比較すると、在宅より常駐のほうが高い傾向にあります。
フロントエンドエンジニアの勉強方法 難易度は?
フロントエンドエンジニアは多くのプログラミング言語を扱うだけでなく、デザインやUI・UX、サーバーサイドの知識も求められることがあるため、勉強する範囲は多岐にわたります。とはいえ、勉強量こそ多いものの、それぞれの知識の習得難易度はさほど高くありません。地道に努力すれば、誰でもある程度の知識やスキルを身につけられるでしょう。勉強方法は時間や予算にもよりますが、主に以下の4つの選択肢があるため、自分に合った方法を選びましょう。
・書籍で勉強する
最もオーソドックスな勉強方法です。1冊でフロントエンドエンジニアに必要な情報がまとまっている本も多く、あまりコストをかけず自分のペースで勉強が進められます。ただ、わからないことがあったときに誰かに質問できず、自分で時間を作って勉強しなければならないため、モチベーションを維持する努力が必要です。
・学習アプリやサイトを使う
短い動画に効率よく要点がまとめてあり、コストも安く済むのがメリットです。人気の学習サイトとしては、「ドットインストール」「Progate」「paizaラーニング」などが挙げられます。無料の学習サイトやアプリも多いので、コストをかけず隙間時間を利用して勉強したい人におすすめです。
・プログラミングスクールで学ぶ
コストはかかりますが、確実にスキルを身につけたいならプログラミングスクールがおすすめです。実際に現場で活躍している講師がレッスンしてくれるので、実践的なノウハウを学べます。また、わからないことがあれば質問できたり、同じ志を持つ仲間との人脈を築けたりするメリットもあります。最近ではオンラインレッスンもあるので、時間的に通学が難しい人はそちらを考えてもよいでしょう。
・職業訓練校で学ぶ
失業中に失業保険を受け取りながら、転職に必要なスキルを取得できるのが職業訓練校です。ここでもHTML・CSS・JavaScriptなど、フロントエンドエンジニアになるための基礎知識を学べます。公的機関ゆえ無料または格安で学べるのも魅力です。また、修了後にはハローワークでの就職斡旋などのアフターフォローもあります。
フロントエンドエンジニア案件の獲得に活かせる資格とは?
好条件の案件を取得するため、資格を取って他者と差をつけるのもひとつの方法です。以下では、案件取得に役立つ資格をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
・Webクリエイター能力認定試験
デザインの知識やコーディングスキルなどを認定する資格です。制作環境の構築から設計、開発、コーディング、デザインなど幅広い分野から出題されるため、Webクリエイターを目指す人向けの標準的な資格として知られています。「スタンダード」と「エキスパート」の2つから、自分に合ったランクを選べます。
・HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5・CSS3・JavaScriptなど、フロントエンドエンジニアに欠かせないマークアップの知識や技術を認定する資格です。試験はレベル1・2に分かれており、基礎的なスキルを測りたいなら、まずは1から取得することをおすすめします。
・基本情報技術者試験
コンピューター科学の基礎やネットワーク、マネジメントからセキュリティまで、インターネットの基礎知識を網羅する試験です。難関国家資格のひとつで、難易度が非常に高いことで知られています。取得すれば高度な知識と技能を持ったIT人材という証明になるため、案件取得やスキルアップに有利となります。
・ウェブデザイン技能検定
Webデザインに関する知識や技術を測る試験です。フロントエンドエンジニアが直接デザインを行うことはありませんが、デザインの知識があるとデザイナーに直接提案できたり、コミュニケーションをスムーズに進められたりするため、取っておいて損はない資格といえます。
フロントエンドエンジニア案件の求人 未経験者でも応募できる?
フロントエンドエンジニアはコーディングのスキルだけでなく、デザインやUI・UXの知識など、総合的なスキルを求められる仕事です。そのため、募集しているほとんどの案件では、数年以上の経験を応募資格に挙げています。
未経験の場合は、いきなりフロントエンジニアに応募するのではなく、コーダーから始めることをおすすめします。コーダーなら未経験でも応募できる案件が多数あります。フロントエンジニアの仕事でもコーディングスキルは必須なため、将来へのファーストステップとして最適です。