クライアントから絶大なる信頼を得て、営業活動をせずともひっきりなしに仕事が舞い込む・・・フリーランスにとってある意味理想といえる状況ですが、一方で自身のキャパシティを超える程仕事が舞い込んできた時の対処法に苦労することも事実ですね。
ただでさえ仕事を断ることを躊躇してしまうフリーランスにとって、仕事の断り方を悩むというのは贅沢なことかもしれません。しかし一方で仕事を断ったほうが良いケースもあるのです。
そこで今回は仕事を断るケースについてご説明します。
なんでもかんでも引き受けるのは得策ではない
フリーランスにとって、「仕事を断る」という行為はクライアントの期待に背いているような気がしてなかなか言い出せないものです。また、「仕事を断るのは失礼にあたる」と考えている方もいるでしょう。
しかし、ビジネスの世界において、仕事を断るというのは普通に行われている行為です。失礼な行為ではありませんし、ましてや信頼を裏切る行為でもありません。
むしろ、クライアントに言われるがままなんでもかんでも「ハイハイ」と仕事を請け負うことこそ得策ではないです。特に理由なく断るのは良いことではありませんが、正当な理由があれば仕事を断ることも必要になります。
フリーランスが仕事を断った方がいい5個のケース
では、フリーランスにとって仕事を断ったほうが良いケースについてご説明しましょう。
以下、5つ程具体例を挙げてみました。これらのケースに当てはまる場合は、その理由をしっかりと説明した上でクライアントに失礼の無いようお断りすることが賢明です。
1. 許容量を超える時
多くのフリーランスは複数のタスクを同時並行で進めていきます。仕事のボリュームや納期の関係上、どうしてもその仕事を納期までに完了させることができないような案件の依頼が舞い込むこともあるでしょう。
そのような場合、安易に受託してしまうとかえってクライアントに迷惑をかけてしまいます。
現状の業務ボリュームを勘案した上で、どうしても責任を持って案件を進めることができない旨をクライアントに伝えましょう。そして、納期を伸ばしてもらうなどの交渉をし、それでもダメであればお断りすることも大切です。
2. 納期が短すぎる時
仕事の納期が短すぎて対応できないケースもあります。もちろん、クライアントとの関係性において、フリーランスの方で徹夜して納期に間に合わせることも選択肢の一つとしてはありです。
しかし、同じような納期で2度3度と依頼が続く可能性もあり、そうなると体調を崩してしまうこともあるでしょう。
あまりにも短い納期の場合、既存の業務との兼ね合いで受託できないことを伝えた上でお断りすることが結果的にフリーランス自身を守ることにつながります。
3. 単価が安すぎる時
クライアントから提示された報酬単価が低すぎる場合、その案件を受託すると生産性が著しく落ちてしまいます。受託する報酬単価の基準は各フリーランスによって異なるため一概にはいえませんが、自身が現在受託している案件の平均より低い場合は一旦考えたほうが良いでしょう。
もちろん例外もあります。新規クライアントでこれからいろいろ案件をもらえそうな場合や、テストケースとして提示された案件、あるいはフリーランス自身にとってスキルアップにつながりそうな案件などです。これらは単価如何に関わらず受託してみても良いと思います。
4.技術不足である時
案件内容が自身のスキルに見合わず、クライアントの求めるクオリティで納品できそうにない場合はお断りするのが賢明です。チャレンジ精神を発揮して取り組むのは良いですが、クオリティが低いとクライアントからの信頼を無くしてしまうことにもなりかねません。自身のスキルで対応できないような案件は、その旨をクライアントに説明した上でお断りするのが良いでしょう。
5. 無償で頼まれた時
フリーランスで仕事をしていると、たまに旧知の友人や知り合いから「無料でやってくれないか」と相談されることもあるでしょう。また正規のクライアントであったとしても、無料対応を余儀なくされる場合もあるかと思います。
相手との関係性にもよりますが、基本的に無償の仕事はお断りするのが良いでしょう。ただし、相手の理念や創造性、あるいは熱意などに共感し、ボランティアでもよいからその案件に携わりたいと思った場合は別です。多くの共感者が集まることで、その輪から新たな仕事が生まれる可能性も否定できません。
断る時は依頼してくれたことに感謝を示しつつ、丁寧に断ろう
いくつか仕事を断ったほうが良いケースを挙げてみましたが、どのケースにも共通しているのは「感謝の気持ちを忘れずに上手にお断りする」ことです。単に断る旨だけをメールで伝えたり、正直に単価が安くて受けられないと言ったりすることはNGだと思ってください。
自分を信頼して仕事を依頼してくれたことに感謝しつつ、苦渋の思いで仕事をお断りするというスタンスで臨みましょう。そうすればクライアントとの信頼関係を損なうことなく、引き続き良好な関係性を保つことができるはずです。
おわりに
一流企業では「忙しい人に仕事を頼め」という不文律があります。これは、短時間に多くのことをこなす能力のある忙しい人ほど仕事が早く能力があるとみなされているということであり、結果的に忙しい人ほど出世も早いようです。
フリーランスの世界も変わりません。
忙しいフリーランスには次々に仕事を任せるクライアントが多いのです。しかし、会社員と違ってフリーランスは独立した事業主であるため出世もしませんし身分の保証もありません。
自分を守るためにも、クライアントへの感謝の気持ちを忘れず断る勇気を持つことが大切であるということは頭に入れておきましょう。