フリーランスとして独立するにあたり、お金のことに不安があるという方は多いことでしょう。開業する際に老後のことまで頭が回らないと思いますが、退職金や厚生年金がないフリーランスこそ老後を見据えておかなければなりません。
開業前にお金のことを考えておき、対策を講じておくか後回しにするかで将来の生活が大きく変わります。
フリーランスが独立前に絶対に考えておくべきお金のこととその対策をまとめましたので、これから独立される方はぜひ最後まで目を通し、真剣にお金について考えてみてください。
フリーランスと会社員ではお金事情で異なる面が多い
フリーランスなると、お金の面で会社員の時とは違った悩みや課題が出てきます。フリーランスと会社員のどちらがお金の面で有利かは一概に言えませんし、どちらにもメリット・デメリットは存在します。
大事なのは開業する前にお金のことをしっかり考えておくことです。後ほど詳しく解説しますが、フリーランスと会社員では社会的信用に差があるためローンやクレジットカードの審査が通りにくかったりするので、開業前にやっておかないと後悔することもあります。かといって無理に住宅ローンを組むと収入減や収入が途絶えた時に路頭に迷うことになるので、フリーランスにつきまとうリスクも想定してお金のことを考えておかなければなりません。
これから解説する9個のことは、フリーランスとして独立する前に考えておくことをおすすめします。なんとからなるだろうと考えることから逃げず、開業してから困らないようにお金のことをちゃんと考えておきましょう。
1:退職金がない
退職金は会社から出るものなので、会社に属さないフリーランスに退職金はありません。退職金は老後の生活資金のベースになるので、フリーランスになる前によく考えておかなければなりません。
フリーランスの場合、退職金がない分だけ会社員よりも多く老後の生活資金を積み立てておく必要があります。開業する際は老後のことまで頭が回らないと思いますが、退職金がないことを想定しておかないと将来困ることになります。
対策:小規模企業共済で積み立て
基本的にフリーランスは退職金がないものと考えておくべきですが、「小規模企業共済」を利用すれば退職金の積み立てができます。「小規模企業共済」は国がつくった「経営者の退職金制度」で、毎月積み立てをすることで事業を廃止した際に共済金(解約手当金)を受け取れます。この共済金が退職金代わりになります。
掛金月額は1,000円〜7万円までの範囲で選択可能で、500円単位で増額・減額できます。掛金は全額を「小規模企業共済等掛金控除」として計上できるので、所得控除による節税効果もあります。共済金は税法上で退職所得扱いになるので、退職所得控除が受けられます。
つまり、「小規模企業共済」は退職金代わりの積み立てになるだけでなく、節税効果もあるのです。掛金月額は1,000円からなので積み立てしやすいですし、収入が増えたタイミングで増額すればいいので無理せずに積み立てできます。
2:厚生年金がない
厚生年金は会社と社員が半分ずつ負担する仕組みです。社員からすれば会社が半分支払ってくれた分だけ将来受給できる年金額が増えるという大きなメリットがあります。
対してフリーランスは基本的に国民健康保険に加入するわけですが、会社員のような厚生年金はありません。厚生年金がない分、受給できる年金額が少なくなります。退職金と同様に、年金は老後の重要な生活資金となるのでどうするべきか考えておかなければなりません。
対策:付加年金や個人型確定拠出年金で備える
フリーランスが年金額を増やす方法は「付加年金(付加保険料)」と「個人型確定拠出年金」があります。
「付加年金(付加保険料)」は定額保険料に400円プラスすることで受給する年金額を増やせる制度です。国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者が加入できます。40年付加年金を収めた場合、2年間で元が取れるとのことです。将来の年金額がどうなっているか分かりませんが、毎月わずか400円をプラスするだけで受給年金額が増えるのは大きいです。
出典:付加保険料の納付のご案内 / 日本年金機構
「個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)」は、毎月の掛金を自身で拠出・運用して年金の積み立てを行い、60歳以降に年金、または一時金として受け取れる制度です。積立金は「全額所得控除」の対象となり、運用時は非課税となります。受給する際は「公的年金等控除」と「退職所得控除」を受けられます。
「個人型確定拠出年金」は掛金が「全額所得控除」となるので、「所得税」と「住民税」が軽減できるので節税効果があります。もちろん将来の年金として積み立てもできるので、節税効果と年金積立の両方を考えた場合にメリットがあります。
これまでは個人事業主や企業年金等がない会社員向けの制度でしたが、2017年1月から会社員や専業主婦、企業年金等がある会社員も加入できるようになりました。フリーランスからすれば制度変更にさほどメリットはありませんが、国民年金加入者ならほぼ全員が加入できます。フリーランスの場合は満額68,000円で始められます。掛金を積立てした場合にどれくらいの節税効果があるかは確定拠出年金教育協会が運営するサイトで計算できるので試してみてください。
年金に関して言えばフリーランスは会社員と比べて不利と言われることが多いですが、少子高齢化で年金受給額が年々減っているという問題があります。フリーランスにしろ会社員にしろ、年金に頼らず老後資金を自分で用意しておかなければならない時代になっているのも事実なのです。
3:失業保険がない
会社は従業員を雇う際、雇用保険に加入することが義務となっているので、必然的に会社員は雇用保険に加入することになります。フリーランスになる前に会社員として働いており、雇用保険に加入していたのなら退職後に失業保険を受給できます。
個人事業主の場合でも所定の労働時間を超える場合は雇用保険に加入する義務があります。しかし、雇用保険は雇用されている労働者を対象としたもので、個人事業主本人は加入することはできません。個人事業主(フリーランス)はたとえ失業しても自己責任とされ、廃業することになっても失業保険は受給できないのです。
このようにフリーランスは雇用保険がないゆえに、失業(廃業)した際のリスクを考えておかなければなりません。事業が順調でもケガや病気で収入が途絶えたり、廃業を余儀なくされたりする場合もあります。
対策:フリーランス向け所得補償制度を利用する
そうしたフリーランスの失業リスクを軽減するために、政府は2018年をめどに所得補償保険の創設を検討しています。契約がなくなった時に所得が得られるという補償内容とのことなので、この保険制度が実現すればフリーランスも雇用保険と同様に失業時に補償を受けられるようになります。
失業保険とは少し異なりますが、ケガや病気で収入が途絶えてしまった時に所得補償が受けられる制度もあります。2017年1月26日に発足したフリーランス協会は、同年7月4日よりフリーランス向けの所得補償制度の提供を開始しました。
この制度はケガや病気に対する「所得補償保険」「傷害総合保険」、情報漏えいや納品物の瑕疵に対する「賠償責任補償」、2親等の家族も利用できる「福利厚生サービス」がセットになっています。※本制度はフリーランス協会の正会員限定となっています。
フリーランス人口が増加傾向にある現在、フリーランスの所得補償に関する制度・保険が整いつつあります。雇用保険に加入できなくとも、フリーランス向けの所得補償制度を利用することでリスクに備えることができます。
4:国民健康保険料は収入が増えるほど高くなる
国民健康保険料は収入が゙増えるほど高くなるのが特徴です。会社員の場合、健康保険は会社が半分負担してくれています。しかし、フリーランスは全額自分で負担しなければならないので、会社員の時よりも高く感じることでしょう。
フリーランスの多くが加入する国民健康保険は前年度の所得に応じて計算されます。収入が少ない時は健康保険料の負担が少なくて済みますが、収入が増えるほど健康保険料が高くなっていきます。健康保険料は前年度の所得にかかるので、今年度の収入が少なくても高額な健康保険料の請求が来ます。前年度の収入が多く、今年度の収入が大幅減になった場合、正直言って健康保険料の負担はかなり辛いです。
退職した翌年の健康保険の支払いにも注意しなければなりません。開業してまだ間もなく、収入がほとんどなかったとしても、容赦なく健康保険料の請求が来ます。退職して1年目は健康保険料の支払い分を残しておかないと、しんどい思いをします。
対策:任意継続、または健康保険組合に入る
社会保険に2ヶ月以上加入していれば、退職から2年間は任意継続できます。社会保険には扶養があるため、任意継続した場合、条件を満たしていれば1人分の保険料で家族の健康保険料をまかなえるというメリットがあります。国民健康保険には扶養がないため、社会保険の扶養が適用されれば任意継続した方が保険料は安くなるかもしれません。
ただし、2年間という期限付きなので、期限後は国民健康保険、または次に解説する健康保険組合に加入することを考える必要があります。また、任意継続は資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に手続きしないと申し込みを受け付けてくれないので注意してください。
フリーランスの健康保険は、国民健康保険以外に健康保険組合に加入するという選択肢もあります。クリエイター向けの健康保険組合なら、「文芸美術国民健康保険組合」が有名です。国民健康保険は所得によって保険料が増えますが、「文芸美術国民健康保険組合」は収入に関わらず保険料が一定なので、ある程度の収入があるフリーランスは国保よりも保険料の負担を軽減できます。
「文芸美術国民健康保険組合」には加入条件があり、組合加盟の各団体の会員でなければなりません。団体によっては年会費が必要となる場合があるので確認しておきましょう。
「文芸美術国民健康保険組合」の加盟団体一覧表のリンクはこちらに張っておきます。
5:ローンが組みにくい
一般的にフリーランスはローンが組みにくいと言われます。フリーランスがローンの審査に通りにくいのは収入が不安定であることが大きな理由です。金融機関からすれば、フリーランスはいつ収入が途切れるかわかりませんし、有給休暇もないためケガや病気で休まざるを得なくなった時に収入が大幅に減少、またはゼロになる可能性があるため、貸し出すリスクが大きいと考えます。そうした収入面のリスクからフリーランスはローンの審査に通りにくいとされています。
対策:社会的信用を築く
しかし、フリーランスだからといってローンを組めないわけではありません。住宅ローンやカードローンなどローンの種類にもよりますが、社会的信用が高ければローンを組むことも可能です。
クレジットカードの支払いの遅延・滞納がないか、税金・健康保険料の滞納・未納がないか、事業資金を借り入れしていないかといったことが審査でチェックされます。支払いの滞納や税金の未納をしている人にお金を貸そうとは思わないのは当たり前なので、払うべきものはしっかり払い、金融機関からの信用を得ることがローン審査を通すポイントとなります。
住宅ローンの審査を通す上で頭金を用意することも大切です。住宅ローンを申し込む予定の金融機関で毎月少しずつでも定期預金の積み立てをして実績を築いておくと、審査にプラスになる可能性があります。また、頭金がゼロで審査を申し込むのと、ある程度の頭金を用意した上で審査を申し込むとでは信用が違います。フリーランスがローンの審査を通すには、地道に社会的信用を築かなければなりません。
課題:フリーランスになる前に住宅ローンを組むべきか?
フリーランスはローンが組みにくいため、開業する前に住宅ローンを組んでおくべきだという意見もあります。確かにフリーランスになるとローンを組むのが難しくなるなら、社会的信用の高い会社員の時にローンを組んでおく方がいいという考えは分かります。
しかし、フリーランスになって思うような収入が得られるとも限りませんし、ケガや病気で収入が途絶え、ローンが支払えなくなるリスクも考えておかなければなりません。ローンの審査に通っても支払いができなくなれば自宅を手放さざるを得なくなります。
住宅を購入すべきか賃貸のままでいくのかは難しいところですが、賃貸の自宅を事務所としている場合、事業で使用した分は按分して経費にできるというメリットがあります。対して住宅ローンは支払利息を経費にできますが、元金は経費にできません。
賃貸の家賃を払い続けるなら住宅を購入した方がいいと考えるか、自宅兼事務所の家賃を経費にした方が利点はあると考えるかは個人個人によりますが、フリーランスの場合は収入のリスクをふまえて考えておく必要があります。先に紹介した所得補償制度に加入するのもリスクヘッジになりますし、頭金を多く用意できてから住宅ローンを組むのもリスクを減らす方法です。
6:クレジットカードの審査に通りにくい
ローンと同様に、フリーランスは収入が不安定であることからクレジットカードの審査に通りにくいとされています。審査に通らないその他の理由として、クレジットカードの支払いを遅延・滞納していると信用情報に記録され、審査に影響するということがあります。また、携帯電話やスマートフォンの分割払いもローンであるため、支払いを遅延・滞納すると信用情報に記録が残ります。支払いがたびたび遅れたり、数ヶ月滞納していたりすると、信用情報に記載されて新しくクレジットカードを作りにくくなります。
フリーランスは収入の不安定さという面で会社員より審査で不利になるため、持っているカードや携帯電話の分割払いの支払いは遅れないようにしましょう。
対策:収入実績を積む、事業用カードに申し込む
フリーランスがクレジットカードの審査に通るには収入実績が必要です。一定額の収入があり、かつ収入が増加傾向にあることを証明できれば審査に通る可能性が上がります。カード会社によって審査の基準が異なるのでいくら収入があれば通るのかは一概に言えませんが、フリーランス一年目で収入実績がないより二年目、三年目と収入実績を積んだ後に申し込んだ方がいいでしょう。
クレジットカードは個人用以外に法人カードや事業用カードがあります。法人カードの中には個人事業主向けのものもあり、法人化していなくても申し込むことができます。事業用のカードを作っておくとプライベートのカードと経費の区別ができ、キャッシュフローが把握できるというメリットがあります。
法人カードは年会費がかかるのがネックになりますが、事業用のカードであれば年会費を経費に計上できます。法人カードや事業用カードも審査で収入実績や事業の信頼性がチェックされるので、実績を積んでから申し込んだ方がいいでしょう。
課題:クレジットカードは開業前に作っておく方がいいのか?
フリーランスになるとクレジットカードの審査が通りにくいため、開業前にクレジットカードを作っておく方は多いようです。社会的信用の高い会社員ならカード審査に通りやすいので、カードを持つ予定なら開業前に作っておいた方がいいでしょう。
普段の買い物でクレジットカードをあまり使わないという方も、サーバー代やプロバイダ代などはクレジットカード払いであることが多いので、持っておいた方が良いかと思います。DropboxなどのWebサービスもクレジットカード払いが多く、フリーランスになると有料のWebサービスやツールを利用する機会が多いのでクレジットカードを持っておいた方がいいでしょう。
また、クレジットカードも大事ですがカードローンなども開業前に持っといた方がいいでしょう。いざという時に便利に利用することが出来ます。
7:青色申告で節税
個人事業主として開業する際、「開業届」と同時に「青色申告承認申請書」を提出しておきましょう。なぜなら、「青色申告承認申請書」を提出していないと確定申告で青色申告が利用できないからです。提出しない場合は自動的に白色申告での確定申告になります。
青色申告を推奨する理由は主に3つあります。
・最大65万円の控除が受けられる
・最大3年間、赤字の繰り越しができる
・家族への給与を経費にできる(青色申告の専従者給与)
中でも最大65万円の控除は非常に大きなメリットで、青色申告と白色申告で節税効果が大きく違ってきます。
青色申告で確定申告するには複式簿記での記帳が義務付けられているので、簿記の勉強をしておくことをおすすめします。クラウド会計ソフトを使えば簿記の知識がなくても帳簿付けや確定申告の種類を作成できますが、簿記の基本くらいは学んでおいた方がいいでしょう。
対策:経費になるものとならないものを覚える
事業で使った費用を必要経費として計上することで節税効果が高まります。しかし、本来なら経費にできるのに、知らなかったばかりに計上していない科目があると節税面で損してしまいます。逆に経費にしてはいけないものを計上すると税務調査が入った時に指摘されるので注意してください。
正しく節税するために、経費になるものとならないものを覚えることが大事です。開業前の費用は開業費として計上できるので、節税のために経費の範囲を覚えておきましょう。
8:フリーランスと消費税の関係
消費税と言えば商品を売買する際に必要となる税金ですが、実はフリーランスの事業にも関係しています。税法では年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税が免除されますが、課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。
※「所得」ではなく「売上」がベース
消費税は前々年の売上に対して課税されるので、売上高が1,000万円を超えたからといって翌年からすぐに納税義務が生じるわけではありません。また、開業してすぐ前々年の売上がないため、実質的に開業してから2年間は消費税が免除されます。
課題:クライアントに消費税を請求すべきか?
消費税の納税義務がないからといって、クライアントに消費税を請求してはいけないわけではありません。
年間の売上高が1,000万円以下で消費税の納税義務がない場合、請求するのはなんだか申し訳ないという気持ちも分かります。しかし、フリーランスはプロバイダ代、パソコン購入費、Webサービス利用料など、事業活動をする上で消費税を支払っているわけで、クライアントに消費税を請求しない場合は全て自分の負担となります。
消費税の請求に関しては難しいところでもあり、請求するフリーランスもいれば請求しないフリーランスもいます。結局のところ、内税として報酬に消費税を含めるのか、外税として消費税を請求するかはフリーランスの判断によります。中にはフリーランスが免税事業者であることを理由に消費税分の減額を要求するクライアントもいますが、損をしないためには契約時に交渉をしなければなりません。
消費税の知識がないと損をすることがありますので、フリーランスには無関係だと考えずに消費税について学んでおきましょう。
消費税を請求についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
消費税を請求すべき?納税対象者は?フリーランスが知っておくべき消費税のこと
9:フリーランスにも源泉徴収はある
会社員のお給料は、所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料が源泉徴収されています。源泉徴収は会社が毎月のお給料から天引きし、代わりに税金を納付することで会社員個人が確定申告をしないでいいようにする仕組みです。
源泉徴収はフリーランスにも大いに関係しています。フリーランスの場合、源泉徴収で所得税を前払いします。クライアントによって源泉徴収の対応は異なりますが、基本的に以下に該当する場合は報酬に対して源泉徴収が必要となります。
・原稿料や講演料
・デザイン料
・特定の資格を持つ人(弁護士、公認会計士、司法書士等)に支払う報酬
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬
・宴会等でホステスなどに支払う報酬・料金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
参照:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは / 国税庁
原稿料やデザイン料にかかる源泉徴収の税率は10.21%となっています。10.21%には所得税額と復興特別所得税が含まれています。ライターやデザイナーの報酬は約10%の源泉徴収額が差し引かれると考えてください。
注意したいのは「デザイン料」に対する源泉徴収です。Webデザイン料にも源泉徴収が必要となるのですが、「デザインの報酬・料金の部分が極めて少額である場合は源泉徴収は不要」となっています。コーディング料は源泉徴収の対象外となりますが、Webデザインがメインの業務は源泉徴収が必要となります。
Webデザインとコーディングの両方を依頼された場合がややこしくて、税法上はWebデザインの割合が多ければ源泉徴収が必要となり、コーディングの割合が多ければ源泉徴収は不要と判断されます。
源泉徴収の対象となる案件の場合、報酬から源泉徴収を差し引いた分が支払われます。源泉徴収された場合、クライアントから年末に「源泉徴収票」が届きます。
対策:確定申告すれば納めすぎた所得税は還付される
源泉徴収された時点では経費を計上していませんし、青色申告の最大65万円の控除も適用されていません。確定申告で経費や控除を計上することにより、収める所得税額は変わってきます。もし源泉徴収で所得税を納めすぎている場合、確定申告をすることで還付金を受け取れます。
※所得よっては還付金がない場合もあります。
青色申告で確定申告をするのは節税効果を高めるだけでなく、納めすぎた所得税の還付金を受け取るためでもあります。報酬から10.21%を引かれるのは開業したてのフリーランスにとって厳しいですが、結局は所得税を支払わなければならないですし、納めすぎているなら確定申告で還付金を受け取れるので、源泉徴収と還付金のことを知っていればお金のやりくりも変わってくるでしょう。
おわりに:開業前にお金について考えておこう
フリーランスには退職金も厚生年金もありませんが、小規模企業共済や付加年金・個人型確定拠出年金に加入することで対策を打てます。フリーランスはローンやクレジットカードの審査が通りにくいとされますが、収入実績があればフリーランスでも審査を通すことはできます。消費税や源泉徴収についても知っておくのと知らないのとでは節税面に差が出てきます。
10年、20年、30年とフリーランスで食べていくために、お金のことや税金のことをちゃんと考えておきましょう。